“愛の唄”を聴いて、そのドラマチックな展開とメロディックで力強いサウンド、ギターの攻撃的なリフにも心を抉られた。これがMUCCらしいという表現では収まらないのが、また面白い。王道かつ懐かしさもあるが、細部までこだわられた音(シンセの音の鳴りとか)が今の時代とマッチしているから新鮮さがあるのだと思う。まさに王道と今がうまく混じり合った一曲だ。
そして、今回実施した逹瑯(Vo)へのインタビューでは、メジャーシーンについてや楽曲のことだけではなく、彼が考える「ビジュアル系とは?」「ビジュアル系のよさ」という点についても深く語ってくれている。
中でも「ビジュアル系って音楽ジャンルではないので。音楽で自分たちが『やりたい』と思ったことは何をやってもいい。そこは最大の魅力じゃないかと思います」という発言にハッとさせられた。
確かに、自分の頭の中でなぜか「ビジュアル系」とカテゴライズされていたし、「こんな感じの音楽」という勝手なイメージができあがっていた気がする。
ただ、この言葉から確信に変わったのは、ジャンルレスなものだから「ビジュアル系」は常に進化し続け、新しい音楽に挑戦し続けられる唯一無二の様式であるということ。決まった音楽ジャンルのバンドが、真逆のジャンルの曲を作ると違和感を感じるが、ビジュアル系バンドを考えると、音楽ジャンルの幅は本当に広い。だからこそ、可能性が広がる。
これからビジュアル系界隈はもっと盛り上がると逹瑯が話していたが、その理由についても興味深く、ワクワクさせられた。詳細はぜひ、本誌でたっぷりと楽しんでほしい。(岩田知大)
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