Teleの新曲“金星”のMVが救うのは、ひとりだけ居場所を失ってしまったあの孤独な夜だ


うわー……と頭を抱えながら、このMVを観終える頃には、今までのあれやこれやの記憶が蘇って、私は無駄にメンタルを削られていた。
Tele本人が初の演技に挑戦しているのだが、映し出されるのは、居心地の悪い飲み会で会話の輪に入れず、無言でひたすら目の前のポテトを食べ続け、挙げ句の果てにトイレに逃げ込む(リアルすぎて見ていられない)Teleの姿。この状況に共感できる人とできない人の間には、大きな川が流れている気がする。こんな瞬間は、なんでいつも自分だけこうなってしまうんだろう?と、世界に誰も味方なんていないような気分にもなるが、YouTubeのコメント欄を見て、このシチュエーションに共感している人が思ったよりたくさんいることに勝手に安心し、何よりTele本人もこの気持ちがわかる側の人だったのか、と失礼ながらに嬉しく思ってしまった。

想いを寄せる人を金星になぞらえ、《僕は、身勝手に君の周期を遮る。》と空回りする想いを爆発させる。視界の中には確かにあるのに、まるで自分とは別の世界を生きているあの人は、MVの中では結局振り向いてはくれないのだが、ひとりぼっちの夜を過ごす誰かの耳元で、きっとその孤独を救っているはずだ。(有本早季)
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