ところが、今月リリースされた第3弾となる“猫の尻尾 feat. 蒼山幸子”にはとても驚かされた。歌詞が格段にシンプルなのだ。このSAKANAMON初の失恋ソングは、別れることはもう覆せないのはわかっているのに、つい引き止めようとしてしまう情けない姿が少ない言葉でありありと描かれている。歌詞の中のふたりがどういう歴史を辿ってきたのか、なぜ別れを選ぶことになったのかは読み取れないけれど、《痛い程》に悲痛な想いがはっきりと伝わってくる。そして、蒼山の繊細なコーラスと表現力豊かなピアノの音色によって、曲が進むにつれて切なさがより増幅されていく。
一癖あるのがSAKANAMON、だけどこんなにもシンプルな表現で、リスナーを胸が締め付けられるような想いにさせてしまうところに表現の底力を感じたし、3部作の中でいちばんの衝撃を受けた。“猫の尻尾”を聴くと、あなたが抱いていたSAKANAMONのイメージが変わるかも。(有本早季)
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