音楽性はバラバラなのに独自性がある――変幻自在のアーティスト・MONONOKEとは何者? メジャー1stシングル『トーキョー・ジャーニー』から、その絶妙なバランス感覚をひもとく

音楽性はバラバラなのに独自性がある――変幻自在のアーティスト・MONONOKEとは何者? メジャー1stシングル『トーキョー・ジャーニー』から、その絶妙なバランス感覚をひもとく
「音楽性を定めない」という選択をするアーティストは少なくないが、それをこれほどまでに体現しているアーティストは貴重だと思う。

MONONOKEの楽曲は本当に1曲1曲、極端に言えば人が変わったような印象を受けるほどバリエーション豊かだ。電子音と楽器の生音を巧みに使い分けたり混ぜ合わせたりする自由なサウンド、さまざまなアーティストへのリスペクトを感じさせるメロディ、曲によってガラリと印象が変わるボーカリゼーションによって、まさに物の怪のように変幻自在な音楽を奏でている。

ここまでジャンルレスな音楽性を見せるのはある意味賭けでもあると思うが、MONONOKEは影響を受けたアーティストたちの香りを感じさせつつも、それに飲まれるのではなくしっかりとMONONOKEの楽曲としてまとめ上げている。それぞれのアーティストへの解像度が非常に高く、音作りへの執念が凄まじいからこそ、絶妙なバランス感覚で「それっぽい」音楽にとどまらない独自性を生み出せているのだと思う。

そんなMONONOKE が、11月29日にメジャーデビューシングル『トーキョー・ジャーニー』を配信リリースした。


今作は兵庫・明石出身/在住のMONONOKEが初めて東京に降り立った際の感覚から着想を得たという。主人公はMONONOKE自身ではなく『翻弄されている新人社員』とのことで、目まぐるしく過ぎていく都会での生活に不安を感じながらも闘おうとする様が浮かぶダンスチューンに仕上がっている。

特に間奏の音が素晴らしい。雑踏の中に1人で立つと聞こえてくる無数の音、でもどの音も自分には向けられていない、自分には関係ない音なのだと気づいたときの孤独感。「ひとりでいる孤独」ではなく、「たくさんの人の中で感じる孤独」が、カオスな音像によって鮮やかに引き立っている。そしてそういう不安や焦燥感を掻き立てられる音も包み込むような、熱量と優しさを感じさせるボーカルもいい。

MONONOKEの才能は底しれない。これからもさらに音楽の幅を広げながら独自の世界を切り拓いていくのであろう、その姿を見るのが楽しみだ。

そしてこの『トーキョー・ジャーニー』について、これまでの音楽について、MONONOKE自身についてじっくりと話を聞いたインタビュー記事が公開されている。作品とあわせてぜひチェックしてほしい。(藤澤香菜)


【インタビュー】自分の音楽を心の拠り所にしてほしい――変幻自在の新世代アーティスト・MONONOKE、創作源にある「不安」と、メジャーデビューへの想いを語る[PR]
メジャーデビューシングル『トーキョー・ジャーニー』で本格的にロックシーンへ飛び込んできた、兵庫県・明石在住のソロアーティスト・MONONOKE。17歳の時にセルフプロデュースで作ったデモを、サカナクションなどを手がけるエンジニア・浦本雅史のリミックスにより完成させたインディーズ1stアルバ…
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