川上洋平と白井眞輝の出身地である神奈川県相模原市で2日間にわたり開催された「THIS FES ’24 in Sagamihara」、その二日目を観た。
ドクドクとうねりを増しながら興奮が積み上がっていくように、舞台となる相模原ギオンフィールドは異様な熱気に包まれていた。
この地でまさか音楽フェスが開催されるとは──そんな疑問をかき消すように、会場は私たちを驚きと喜びをもって歓迎してくれた。
気候的にも申し分なく、熱くもなく寒くもなくというちょうどいい気温。デビュー15周年を迎えた[Alexandros]と、市制施行70周年の相模原市を記念して行われた今回の「ディスフェス」には、彼らが15年、いやそれよりも以前から地元として愛を注いできたこの地への感謝と誠意が、そして「フェス」への愛が感じられるような観客が快適に過ごすための工夫が施されていて、ステージから放たれるアーティストたちの熱量も、[Alexandros]の滾る想いに呼応するかのようで、激しく、優しく、熱く、鋭くて、とにかく凄まじかった。
招待されたアーティストは、[Alexandros] がまさしく”ワタリドリ”のようにバンド人生のさまざまな局面で出逢いを果たし、対バンという形で戦いたい、と思ったという面々。そんなアーティストたちが[Alexandros]に返す想いもさることながら、オーディエンスの「受け止める覚悟」も伊達じゃない。「もっと」「もっと!」というオーディエンスの欲望が渦となってステージを包み込み、その渦中で演者たちのエネルギーが幾度となく爆ぜていく。
主催であり2日間のトリを務めた[Alexandros]のパフォーマンスやMCは、いつもと違い地元・相模原でしか見せない、見られない表情に溢れていて、それを我が子のように愛をもって受け止めるオーディエンスのリアクションを見ていると、なぜ彼らが相模原を愛しているのか、なぜこれほどのアーティストが揃ったのか、この2日間で[Alexandros]が刻んだ歴史の濃さを改めて実感させられた。
2025年春にはニューアルバムがリリースされることも発表された。ここから始まる──今の[Alexandros]が描く未来に期待せずにはいられない。(橋本創)
10月30日(水)発売『ROCKIN'ON JAPAN』12月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。