sumikaじゃなくて、[camp session]とも[roof session]とも異なる、「片岡健太とバンドマン」たちがこの日鳴らした音は──片岡自身もMCで語っていたが──まさしく友達が家で歌って聞かせてくれるような距離感で胸に届いて、いつにないあったかみに溢れていた。
急遽予定を変更して「sumika FANCLUB LIVE TOUR『縁会』2024」から「片岡健太とバンドマン”ツアー(仮)」と名を変えて行われた本ツアー。
12月5日に行われたKT Zepp Yokohama公演を観た。
彼らのライブは、いつだってオーディエンスを含めた会場にいる全員がプレイヤーとなって作り上げているという実感と一体感に心が埋め尽くされてしまうのだが、今回はいい意味で最高のステージを「目撃」した、そんな気分。
もちろんただ観ていたわけではなく、会場にいる人々も次から次にステージに引っ張り出されたような錯覚さえ覚えるほどに、やはり全員で作り上げたライブだったことは間違いない。
終演後、クラップをした手はぼんわりと熱を帯びていて、手のひらの上にはまだかすかに音のかけらみたいなものが転がっているような気がして耳を覆うと、今日のハイライトが何度もリプレイされる。寒空の下、彼らがそっと胸に点した灯を寄辺として私たちは日常に、それぞれのすみかに帰っていくのだ。(橋本創)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。
「片岡健太とバンドマン」がどこまでもあったかい音を鳴らした幻の一夜を観た!
2024.12.06 11:45