「TOOBOE × Chevon」2マンツアーファイナルを観て

世の中は、ますます「正しさ」を求めるようになっている。
間違わないこと、清くあること、完璧であること。
だけど、人はそんなに単純ではないし、そんな世界は息苦しい。
人生は曖昧だ。むしろ、曖昧であることが尊い。
その揺らぎのある世界の中で、それでも叫び、もがき、音楽を鳴らし続けているのがTOOBOEとChevonだ。

彼らが描く音楽世界はどこまでもグレーだ。真っ黒でもなく、真っ白でもない。
Chevonのボーカル谷絹茉優は、文学的な歌詞と変幻自在の声で、人生の苦みや矛盾を丸ごと抱え込む。彼らの音楽には、どこか壊れかけた美しさがある。それは、人間の不完全さをそのまま肯定するような響きだ。
片やTOOBOEは、緻密に構築されたサウンドと中毒性のあるメロディで、絶えず揺れ動く感情を鋭利に切り取る。どこか影がありながらも、最後の最後にわずかな光を滲ませる。生きることの不条理を知っているからこそ、それでも音楽で足掻こうとする。その在り方に、聴く者は救われる。

TOOBOEとChevonの音楽が、今この時代に必要とされているのは、そういうことなのだと思う。(古閑英揮)
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