コースト終了。数ある対バンを観てきた中でも、最高のケミストリーを生んだ対バンだった。
基本的には、それぞれがそれぞれのやり方を極めたライヴをしただけ。the HIATUSは細美の歌が衝動のままに解き放たれていた。これまでも衝動的なヴォーカリストだったが、今は歌が衝動そのものだった。バンドが最高にいい状態なのだ。ストレイテナーは、一見冷静なようで、演奏の静と動のコントラストの深さに明らかな闘志が見てとれた。ものすごく熱いバンドなんだ、実は。4人になって立体的になった音にしなやかな凶暴性が宿るようになった。
というわけで、それぞれがそれぞれのいいライヴをしただけなのだが、さらに両バンドともライヴごとに何が起こるかわからないスリリングさを持っていて、その前向きな危うさみたいなものがお互いを刺激し合っていたのだと思う。どちらの新曲も何が起こるかわからないようなものをチャートの最前線にぶちこむような曲だし。
何が起こるかわからないと言えばテナーのアンコールまで終わったあとに袖で見ていたHIATUSのメンバーが出てきてひとしきり抱き合ったあとに細美が「もう1曲聴きたくない? 俺、どうしても『ROCKSTEADY』が聴きてえんだ」とリクエストしてお客さんが湧いて急遽テナーが演奏した。ある種、2バンドのコラボレーションだ。
これから、もっとこういう何が起こるかわからないライヴが増えていけばいいな。(古河)