THE STALIN Zが忘れられない


今さらですが。THE STALIN Z、最高だった!!!!!!! 
大袈裟でなく、あの瞬間、世界一カッコいいバンドだと思った。

中村達也、百々、KenKenの演奏も、ヴィジュアルも、破格!

それをしのぐミチロウさんの歌とパフォーマンスが強力すぎる!!
国宝にすべきだ、このバンド……。
と、あの場にいた多くの人は絶対思ったはずだ。

消火器をふりかけ、バクチクを客席に放り込み、臓物が飛び交ったり、逃げまどったり、ステージに投げ返したり、それをまたミチロウや百々が拾って投げ返したり、「伝説のスターリン」的光景は最高のエンターティメントとして機能したが、それよりもなによりもとにかく楽曲のよさと演奏の迫力が尋常じゃなかった。

すぐにブログにあげたかったが、JAPANの最終校了作業で緊迫しまくっていたので、頭の中で“先天性労働者”を反芻しながら我慢していた。

1月21日、東京・SHIBUYA O-EASTのライヴは、トリビュート盤に参加した黒猫チェルシー、MERRYが参加。それぞれ気合いの入りまくったライヴで、還暦を迎えたミチロウに花をたむけた。新曲を制作中の黒猫は、いっぱい新曲をやった。

ステージ転換中、スターリン・マークの幕が下りてくると、「スターリン! スターリン! スターリン!」というコールがフロアに沸き起こり、ただならぬ興奮に包まれる。

SEでかかっていた戸川純の“カノン”が途絶えて、暗転――

いよいよメンバー登場!? 
と思いきや、遠藤ミチロウが一人でステージに登場。

スターリンのギタリストだったタムが先日亡くなったこと、そして彼がいなければスターリンはなかった、と告げた。

「みんなタムのために祈ってください」。

「黙祷」――拡声器でサイレンを響かせ、そのまま“ワルシャワの幻想”へ。
うわああああ! 
中村達也はモヒカンに豹柄コートをはおり、顔面に刺青のようなメイク、完全にスターリン仕様。
百々も、KenKenも、それぞれ目の周りを黒や青に縁取っている。
演奏のテンションが想像を超えている――
以下、冒頭に戻る。 

しかし、今、冷静になって聴いているのは、スターリンではなくソロの“Mr.ボージャングル”だったりする。


最後の最後に、パンクという武器を下ろし、ミチロウがたった一人でアコースティック・ギターでタムさんのために歌った曲。美しい喪失感がすべてを浄化してしまった。心に深く刺さる素晴らしい歌だった。

ああ、もう一度、あのスーパーバンドの音が聴きたいなあ。
29日、名古屋でもう一度だけ観れるんだなあ……。


写真は現在発売中bridgeより。10ページにわたるロングインタビューです。(井上)
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