日常。
なんて書くと、「またそんなありふれた文脈か」と言われるかもしれないが、これは日常のBGM--なんていう「いい感じのもの」ではない。
むしろ「ふと振り返ると猛烈に切なくて苦しい日常」を音にしている音楽だと思う。あくまで僕が聴くこのアルバムは--ということですが。
だから、自分の言葉で言うなら、「日常」というより、「記憶」に近い。
90年代を一生懸命生きてきた自分にとって(このアルバムは90年代に生まれた作品より、90年代の空気をうまく表現していると思う)、このアルバムで鳴っている音は、まさにあの頃に過ごしてきた日々に感じていた空気、そのものだったりする。
懐かしくも苦くもある、というのはそういうことだ。
とてもいい作品だし、非常にパーソナルな、これは猛烈な褒め言葉としてとても「フォーク」なロックアルバムだ。
今こそ聴きたい、と僕が思うのは、この音がバンド3人にとってどうしても必要な音だったからだろう。
今の音として届いてくれ、と、メロディと言葉がちゃんと言っている感じがする。
明日発売のJAPANの巻頭SCENEでも兵庫さんが書いてくれてます。
来月号ではロングインタヴューいたします。ご期待ください。