2009下半期ベストはじめます


といいつつ、その前に上半期ベストはどんなだったかといいますと、
10.Major Lazer
9.Wavves
8.Morrissey
7.The Pains Of Being Pure At Heart
6.St.Vincent
5.Antony & The Johnsons
4.Animal Collective
3.U2
2.Grizzly Bear
1.Dirty Projectors
というような具合になっておりました。
ここで1枚、「忘れてた!」というアルバムをあらためて番外にて紹介したく。
それがPhoenixの『Wolfgang Amadeus Phoenix』。

現代のポップ・ソングの究極が、たとえばビヨンセなどに象徴される、「フックとサビのひたすらな連発」フォーマットに加速しているのとは反対に、オーソドックスなまでに「物語としてのポップ・ソング」を丁寧に仕上げてきたこの作品は、だけどかといって、オールド・ファッションなものがかもし出す懐かしさや安心といったものとは無縁。なぜかといえば、この作品が、アルバム1枚を通して、ほとんど同じ音楽要素だけの変奏によって構築されているからだ。ぶ厚めなシンセと肌理細やかなギターをそのコアに、というか、それをシバリにして、どこまでポップ・ソングは成立させられるのか、そんな試みがこのアルバムからはひしひしと感じられるのである。もちろん、それは単なるトライアルに留まることなく、ポップというもののもつ、本質的な高揚とメランコリーにタッチしていることが素晴らしいのだけど。現代におけるポップ、つまりはエモーションの共有は、どのような境遇を強いられ、それはいかにしてブレイクスルーし得るかを、表現してしまった作品ともいえるでしょう。
どうしても「今年の1枚」に加えたくて、ここで書かせてもらいました。

明日は、下半期ベストの第10位です。よろしかったらお付き合いください。