The Walkmenの『Lisbon』を選出。
鈍い光を帯びたロカビリー調のギター・フレーズ、あくまで乾いたドラム、決して前に出てこようとしないベース、そして、あらかじめ泣いているボーカル。それが、The Walkmenである。それ以上でもそれ以下でもない。それが、The Walkmenなのである。
そんなバンドの音がどういうことを現出させるかといえば、それは美意識ということになる。そして、The Walkmenの場合、その美意識は「男」性ということになる。彼らの音楽は、ハードボイルドなのである。
彼らの稀有さは、そこにあって、なぜかといえば、この現代において、そのようなダンディズムは捨てられているか笑われているか無視されているか、あるいは、成立しえないものとしてあるからだ。
アルバムの、どこを切り取っても「いい音」が鳴っている。後付けで作られた音では、そうはいかない。美意識という、打算を超えた覚悟だけが鳴らすことのできた作品だと思う。