日本でも早速放送開始!アメリカで記録的なヒット中のヒップホップドラマ『Empire成功の代償』見てみて


アメリカで、今年になって新しく開始したTVドラマ『Empire成功の代償』が放送8回連続視聴率を更新し続けるという快挙を成し遂げ、さらに18ー49才の最高の視聴率を獲得している。

この成功は、アメリカのTVシーンに変革をもたらすことになるかも、と言われているくらいだ。

こちら日本語の予告編。
https://www.youtube.com/watch?v=B79EBcm3prI

そもそも関わっているメンツが豪華。『プレシャス』、『大統領の執事の涙』の監督、『チョコレート』のプロデューサー、リー・ダニエルと、『大統領の執事の涙』の脚本家ダニー・ストルングが制作。『ビューティフル・マインド』、『8マイル』のブライアン・グレイザーがプロデュース。主演は、テレンス・ハーワードに、『ベンジャミン・バトン数奇な人生』でアカデミー賞にノミネートされたタラジ・P・ヘンソン。音楽を手がけるのは、ティンバランド。

物語は、元天才ラッパーにして今は大手レコード会社エンパイアのCEOとなったハーワード演じるルシウス・ライオンが余命宣告を受けたことに始まる。

息子3人の中からひとり、会社の後継者を選ぶと宣言するのだ。長男はビジネスセンスはあるが音楽的な才能がなく、次男は音楽的な才能はあるがゲイで父親から嫌われている。3男は才能もカリスマ性もあるのだけど若くて問題ばかり起こしている。すでにシェイクスピアみたいだ(笑)。

そんな中、会社の資金を稼ぐためにドラッグに手を出し、17年間服役していた元妻にして優れたプロデューサーでもあるヘンソン演じる、クッキーが出所。

愛と金とセックスと裏切りの物語が始まるのだ。

内容はぶっちゃけベタ。というか、もう物語がいくつでも起こりそうなのだ。そういう意味では、今のアメリカにおいて『ダウントン・アビー』を作るとしたらここしかないだろうというくらいの設定とも言える。日本だったら大奥とか、どの国でも、どの時代にも、置き換えることができそうな内容だ。それに、『冬のライオン』をモデルにしたというだけあって、つまりベタというかそれだけ普遍的だということなのだ。しかも、ヒップホップシーンの裏側に対して私たちがイメージしている世界がそのまま使われている。

ただし、ベタなだけではない。このドラマの成功の何が今アメリカで騒がれているかというと、例えば、息子のうちのひとりがゲイだったり、精神疾患を持っていたりと、人気ドラマがこれまで扱ってこなかったテーマで、しかし社会的には今最も注目されているような事柄を真正面から描いていること。

さらに、最大の貢献は、黒人がほとんどの出演者であるTVドラマがここまでの成功を収めたことはなかったこと。今年のオスカーが「最も白い」と言われたように、アメリカのエンターテイメント界においては、いまだ社会の現実はまだ反映されておらず、まだまだ黒人への差別が顕著。このTVの成功が一般大衆のリアルをより示す結果となり、今後のTV、映画界が変えることになるのではと言われているのだ。

ゲスト出演者も豪華で、スヌープ・ドッグに始まり、メアリー・J.ブライジ、ジェニファー・ハドソン、コートニー・ラヴなど。放送2回目ですでに第2シーズンが決定したこの番組。今後の出演者も益々豪華になると思う。

『グリー』ほどではないけど、音楽そのものも注目されている理由で、毎回放送が終わるとそこで歌われた曲がiTunesですぐに買えるようになっている。

『Empire』は、アメリカはまだ第1シーズンが放送中だけど、日本も早速放送が始まった!ぜひ一度見てみて!
http://tv.foxjapan.com/fox/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/2240

音楽シーンのTVドラマと言えば、ミック・ジャガーとマーティン・スコセッシが70年代のNYを舞台にロックシーンを描いた番組を作ることになっている。そちらも楽しみ。
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