パール・ジャム全米ツアー最終日にチープ・トリックとスティングがサプライズ出演の映像+レポート

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新作はもうすぐ?という噂もあるパール・ジャムが、NYのマディソン・スクエア・ガーデン2デイズで全米ツアーを締めくくった。両日とも観て来たのだけど、最終日の5月2日に、なんとチープ・トリックとスティングがサプライズで出演した。チープ・トリックとは“Surrender”を演奏。また、スティングとはポリスの“Driven To Tears”を演奏した。

映像はこちら。
http://www.rollingstone.com/music/news/watch-pearl-jam-perform-with-sting-cheap-trick-in-new-york-20160503

エディ・ヴェダーは、“Driven to Tears”を演奏する前にこうコメントした。

「どこかで読んだんだけど、現代を生きる人間は1700年代の人達が一生で得る以上の情報量を1日で得るらしいんだ。だから、君がもし気が狂ったような気持ちになったり、まるで自分が意味のないもののように思ったり、イライラしたりすることがあったら、そこにはファッキング理由があるってわけなんだ。つまり付いていくのが無理ということ。そして世の中にはあまりにたくさんの悲劇が起きている。昔はそのすべてを知っていたわけじゃないんだ」

「それで俺は、とりわけ選挙の年には本当に腹立たしい気持ちで一杯になるんだ」

「ニュースを伝える会社は、とにかく視聴率のために恐怖を植え付ける。そして最後の最後まで引っ張ろうとする。引っ張れば引っ張る程視聴率は獲得できるわけだからね」

「それで、俺は理想的にバーニー・サンダースのような人が一番良い候補者なんじゃないかと思うんだ。だけど、一番大事なのは投票することだ。自分達の声を届けることだ」

「それで、これだけ情報があるから簡単に学べると思うと思うけど、そうでもない気がする。だから、みんな他の人達が最悪の決断をしないようにお互い学ばないといけないと思う。みんなもちろん勉強していると思うから。俺がお説教をしている可能性もあるけど」

「それですべてが一杯一杯に思えた時に、これ以上良い曲もないと思う」と言って、“Driven to Tears”を演奏した。

スティングがカッコ良かったのは、何も言わないで曲の途中で出て来て、歌い終わったら何も言わないで帰ってしまったこと。

パール・ジャムは、2日間のライブで約2時間半ずつのライブを行ったが、重なっていた曲はたった10曲という相変わらず驚異的なライブを行った。パール・ジャムはいつもそうなのだが、20年以上もライブをやっているのに、このパンク・スピリットとも言えるテンションにまるで揺るぎがない。だから、バンドのツアーのチケットはいまだに全然買えない。私もファンクラブに入っているのに全然買えなくて、怒ってとうとう辞めてしまったほど取れない(笑)。

そしてなんと、実はライブから2日後に近所の本屋さんで行われた出版記念のトーク・ショー+サイン会に突如エディ・ヴェダーが現れたのだ!
パール・ジャム全米ツアー最終日にチープ・トリックとスティングがサプライズ出演の映像+レポート
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『Thomas Young's War』という2014年に亡くなったイラク戦争の帰還兵について書かれたもので、『Body of War』というドキュメンタリーも作られている。エディはその作品にも曲を提供している。エディはそのイベントで、ジョークもたくさん言ってラッキーな100人くらいの観客を大いにエンターテインしていたのだけど、ブッシュ元大統領とディック・チェイニー(ブッシュ政権時の副大統領)への怒りが爆発した場面があり、さらに亡くなった帰還兵のことを思って涙ぐんでしまったのだ。続けて、ブッシュが油絵をやっていたことに対しても言及し、「俺だって油絵を描きたいと思って道具を買ってあるんだ。だけど、俺ですら油絵描いてる時間なんてないのに」と本当にそのままステージに立って歌い出しそうな勢いで激しい怒りを見せていた。その瞬間に、パール・ジャムのライブがいまだにあんなにテンションが高いのは、エディの怒りや感情が本当に今と向き合っているからなのだと実感した。そしてこうやって曲が生まれてくるんだとも。パール・ジャムの長年のファンであり続ける理由を、自分もその目で確認した思いだった。

パール・ジャムは現在もカナダをツアー中で、6月にはボナルーのヘッドライナーを務めることになっている。

パール・ジャムは今回のツアーでは、ライブ中に『Ten』や『Vs.』を全曲順番に演奏するなど画期的なことを行っている。またノース・カロライナ州では反LGBT法の政策に抗議し、ライヴをボイコットしている。それに対してエディは真摯なスピーチをしている。まだまだ魂煮えたぎるバンド。新作が楽しみだ!

2日分のセットリスト。

Thank you, New York! #PJNYC #PJTour2016

Pearl Jamさん(@pearljam)が投稿した写真 -

Epic. #PJTour2016 #PJNYC

Pearl Jamさん(@pearljam)が投稿した写真 -

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