サマーソニックですでに来日も決定している、ザ・リンダ・リンダズ。
地元カリフォルニア州以外で初となるNYでライブを行った。まず彼女たちが大好きなJawbreker の前座として4日間連続ライブした後、5日目という5月1日にとうとう単独初ライブをマーキュリー・ラウンジで行った。アークティック・モンキーズの初ライブを観たのもここだったし、ザ・ストロークスが毎週ライブをやっていたのもここ。NY伝統のスタート地点だ。キャパはたった200人なのでチケットは即完。早い時間帯の開始で、小さい子供たちもたくさん来てた。
ステージに上がると早速ルシアが「前に来たい子供達がいたら一番前にしてあげて」と言っていた。続けて、エロイーズが「ザ・リンダ・リンダズです」と言った後、ミラがカウントして、ジャーンと弾き始めたのが、いきなりザ・ブルーハーツの”リンダ リンダ”でちょっと鳥肌が立ってしまった。自分たちのテーマソングかのような演奏だった。こちら映像。
初めて4人がステージに立ったのはたった4年前。そのイベントに出るために、お父さんに買ってもらった楽器を初めて弾いてみたという当時7歳だったドラムのミラも、11歳だったルシアも、ものすごい勢いで成長。何よりインタビューした時言っていたことを思い出した。
エロイーズ「パンクは、自分がなりたいものなら、何になっても良い音楽だと思う。パンクって自分が正しいと思えるものならなんでも良いっていう音楽なんだと思う。それがすごくクールだと思う。自分たちだけでできて、自分が好きな人たちと一緒にできる。それが本当にクールだと思う」
ルシア「それに、私たちは、ライオットガール・ムーブメントみたいにメッセージを広めたいと思ったし、彼女達の掲げたトーチを引き継いでいきたいって思ってる」
エロイーズ「パンクミュージックがクールなのは、サウンドがクールってだけじゃなくて、同時に重要なものでもありうるってところ。すごく大事なことが歌えるでしょ」
ルシア「つまり、自由がたくさんあるから言いたいことは何だって言えるし、ステージで楽しむことだってできるしね。完璧である必要もないし、ダンスしたっていいしね。だから楽しい。だから私たち大好きなの」
ベラ「パンクミュージックのレガシーを受け継いでいきたいと思ってる」
正にそれが体現されたライブで、もちろん、彼女たちのもうひとつのトレードマークでもある、ネコの大事さもしっかりと語っていた。ベラのネコについて歌った”Nino"もしっかりパフォーマンス。
ヘヴィなサウンドから、疾走感のある”Oh!”に、軽快な”Claudia Kishi”、ドリーミーな”Magic”、ベラが、自分が子供の頃からいつも聴いていたというボサノバに影響された”Cuantas Veces"は、生で聴いたらギター・サウンドがちょっとグランジぽかったのもカッコ良かった。
コロナ禍に学校の友達に会えなくて書いた”Missing You”は切ない響きだった。
ルシアがこれもインタビューで、「こんな風に思うの自分だけなんじゃないかと孤独になることがある。でも世界中にそう思う人たちがいると思うから、曲を通じて1人じゃないと思えるんじゃないかな」と言っていたのも思い出した。
最後は、彼女たちが一躍世界から脚光を浴びた”Racist, Sexist Boy”で大盛り上がりで終了。あっと言う間に終わってしまった。アルバムのタイトル『Growing Up』で正に告げているように、完璧とは言えないけど、彼女たちには伝えたいことがある。そこに心打たれた、「成長中」の彼女たちの今をそのまま焼き付けたライブだった。
終わった後に、ライブを観ていた知り合いに会ったら、「未来に希望が持てた」と満面の笑みで語っていた。
彼女たちは、小さい子供たちにすぐに囲まれて、サインしてあげたり、一緒に写真撮ってあげたりしていた。ビリー・アイリッシュが、コーチェラでデーモン・アンバーンと共演して子供の時の夢が叶ったと感動していたように、数日前にも、オリヴィア・ロドリゴが、アヴリル・ラヴィーンとトロント公演で共演して感動していたように、こういう瞬間が未来につながっていくんだなあと思って、それもまた感動的だった。
会場の外で、サマーソニックで来るの楽しみにしてます。と言ったら、彼女たちも海外でのライブはこれが初めてで、「日本に行くのがすごく楽しみ!」と言っていた。
先週の火曜日にNYに来て、5日連続でライブをやって、火曜日にはLAに戻って、水曜日から学校と言っていた。一番下のミラはまだ11歳。一番上のベラがようやく17歳。全員、会場に入る時、未成年の「X」がつけられてるのも可愛かった。
可愛いと言えば、物販もジャケ写も、エロイーズが描いたネコのイラストが描かれている。4人の顔が猫になっているTシャツ(写真では黒の)がやっぱり定番で良かったけど、ネコが刺繍されたベレー帽が超可愛かった。物販の列もハンパなかった。
そう言えば、ライブ中も紹介していたけど、ベスト・コーストのボブ・ブルーノがバンドのギターテクをやっていた。と言うのは前に読んで知っていたけど、本当にギターのみならず、ドラムもセットリストまで全部用意してあげていた。ベサニー・コセンティーノも母みたいな気分と言っていたけど、たくさんのバンドに愛されてるザ・リンダ・リンダズ。
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