17日発表のエミー賞ノミネーションで、『SHOGUN 将軍』のキャストが多数ノミネーションの予想。真田広之、浅野忠信、二階堂ふみなど。


アメリカで17日東海岸時間午前11時30分(日本時間18日午前12時30分)からエミー賞ノミネーションが発表される。以下のEmmys.comで見れる。
https://x.com/TelevisionAcad/status/1811470539350790320
今年どのメディアも書いているのは、Netflixで記録的なストリーム数だった『私のトナカイちゃん』と、ひとつ前のブログで紹介した『一流シェフのファミリーレストラン』と、『SHOGUN 将軍』が、ノミネーション数を争うということ。
https://x.com/VanityFair/status/1810871801075093823https://x.com/Variety/status/1811551557659582756https://x.com/THR/status/1812155432711991476https://x.com/TheWrap/status/1812910588705796098

エミー賞に先駆けて先週発表されたTV批評家協会賞でも、『将軍』は、最多の4部門(ドラマ部門俳優賞:アンナ・サワイ、最優秀新番組賞、ドラマ部門最優秀作品賞、年間最優秀番組賞)で受賞している。
https://x.com/THR/status/1811943667101499400
『将軍』は、配信開始から最終回まで高評価で、多くのメディアが今年の目玉だと書き立てていた。Rotten Tomatoesでもなんと99%の超高評価。
https://www.rottentomatoes.com/tv/shogun_2024

各部門で俳優が複数ノミネートされると予想されているのだ。

例えばLAタイムズ紙は、
https://www.latimes.com/entertainment-arts/awards/story/2024-07-15/column-emmys-2024-nominations-predictions-the-bear-shogun

1. ドラマシリーズ部門
2. 主演女優:アンナ・サワイ
3. 主演男優:真田広之、コズモ・ジャーヴィス
4. 助演女優:穂志もえか、二階堂ふみ
5. 助演男優:浅野忠信、平岳大

の8ノミネートを予想。俳優部門で複数ノミネートが予想されているところに、この作品の評価の高さが分かると思う。

さらに賭けサイトも『一流シェフ〜』と『将軍』が最多ノミネートされると予想している。
https://x.com/GoldDerby/status/1812970436700913671
真田広之や浅野忠信は、ここまでハリウッドで着実にキャリアを重ねてきたので、今回無事ノミネートされたら本人たちの努力の賜物だと思う。『ラスト・サムライ』(2003年)の撮影現場で取材させてもらった際に、真田広之が、自分の撮影がない日も毎日現場に来て、「日本人から見て、粋ではないことがないように注意したい」と言っていたのが忘れられない。ハリウッドの人にそれを理解してもらうのは難しかったと思うし、すごく勇気のあることでもあったと思うから。すごく辛抱強く、謙虚にここまで来たように思うのだ。
https://www.instagram.com/p/C8nGHm-yddE/

また、浅野忠信の場合は、かつてはインディ映画でも人気を獲得していたため、『将軍』で高い評価を得る前から、いかにインディ映画で活躍するカルトヒーローであったかなど、今だから振り返る記事がDazedなどで出ていたりして素晴らしいと思った。私がちょうどCUT編集部にいる時に、よく掲載させてもらったし、当時から最も人気のある俳優の1人だった。
https://www.dazeddigital.com/film-tv/article/62557/1/shogun-tadanobu-asano-became-japan-most-loved-cult-star-interview

ローリング・ストーン誌も、カルトムービースターから、『将軍』のMVPになったと紹介している。
https://x.com/RollingStone/status/1784237714184777938
『将軍』以外にも、今年は、ドナルド・グローバー(チャイルディッシュ・ガンビーノ)が主演した『Mr. & Mrs. スミス』も素晴らしかった。アンジェリーナ・ジョリーとブラット・ピットの映画版とは全く違って、スパイを描いた物語では全くなくて(そう思って見ると割とがっかりする)、2人の男女の”結婚生活”や人間関係の複雑さを徹底的に探究したところがめちゃくちゃ面白かった。

さらに、個人的にも大好きだった『Hacks』にも注目。これは日本で放送されているのかいまいち分からないけど、過去に大成功した女性コメディアンがキャリアのやり直しをかけて若いライターと奮闘するコメディ。これがビタースウィートで最高。大笑いしながらも、ちょい目に涙がたまる瞬間がある。かつてアン・ハサウェイに取材した際に「30歳を過ぎたらパタリと脚本がこなくなった」と言っていて印象的だった。しかしこの番組に明らかなのは、ストリームなどができたおかげで、30歳を過ぎた女優がその才能をまだまだ開花させる場所ができたこと。それも嬉しい。

その他、高評価で個人的にも最高だと思ったけど、前シーズンはまるでノミネートされなくて大論争となった『Reservation Dogs』。タイカ・ワイティティが脚本、製作総指揮を務めた番組で、4人のティーネイジャーを主人公に友情、家族、コミュニティ、愛や喪失など普遍的なテーマを描いた物語。

しかし、何が画期的かと言ったらオクラホマの居留地(=Reservation)が舞台。つまりネイティブ・アメリカンの若者の視点で描かれているのだ。これは、それこそドナルド・グローバーが製作、主演した『アトランタ』などと同様に、これまでメインストリームのカルチャーでは語られてこなかった視点であることが新しいし面白いのだ。ちなみに、シーズン2で、インキュバスのブランドン・ボイドが”ホワイトジーザス”の役で出るからびっくりした。巻き戻して確認したほど。かなりのはまり役だった。
https://www.instagram.com/p/CvbZF3As7wW/

ちなみにアメリカで言ったら、『一流シェフ~』も、『Reservation Dogs』も、『将軍』も、同じFXが製作。いつもはHBOが多いのだけど、今回は、FXが最多ノミネートになるのかもしれない。とにかく『将軍』のノミネーションに期待!



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