ヴェネチア映画祭『SOMEWHERE』受賞に"ひいき"論争


もう日本にも伝わっているかもですが、ヴェネチア映画祭でソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』が金獅子賞を受賞したことに対して、”ひいき”なのではという論争が起きている。

理由は、今回の審査員長のクエンティン・タランティーノがソフィアの元彼氏で今も友達であることと、『SOMEWHERE』のレビューは決して悪くなかったものの最高賞をもらうほどか?というのが理由みたいだ。例えば、『BLACK SWAN』の評判の方がより熱狂的だったのにおかしい……と。イタリアの新聞がさっそく「明らかにそういう突っ込みをされても仕方ない決断をした」と書いている。

タランティーノは発表後の記者会見で、当然ながらさっそくきっぱり否定。「自分の友達だからという理由で選んだわけでは絶対にない。本当に映画が素晴らしかったからだ」「他の審査員達は彼女の知り合いではまったくないが、みんな映画を気に入っていた。だから最終的にはやっぱりこの映画だということになったんだ。『やっぱりこの映画が最高だ!』ってね」。

実は今トロント映画祭に来ているんだけど、なぜか『SOMEWHERE』が上映されない……。普通は、トロントは、カンヌと、ヴェネチアのおいしいところと、さらにこれから公開される重要なメジャー映画がすべて集結する場所なんだけど。なので、なんとも言えません。『BLACK SWAN』が素晴らしかったのは間違いないです。それと、『SOMEWHERE』は、アメリカではクリスマス公開なので、賞狙いということ。だから、やっぱりいい作品なんだと思う。
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