コンバースがレコード・レーベルに

コンバースがレコード・レーベルに

スターバックスもレーベルを立ち上げたくらいなので、もっと不思議ではない、コンバースがレコード・レーベルを設立する話が具体的になった。
「僕らがスポンサーになる前に、バンドがスタジオで履いてるのはすでにコンバースだし」とメーカー側もこの記事の中で語っているけど。
NY TIMESの日曜版アート&レジャー一面に、コンバースが、現在ブルックリンのウィリアムズバーグに巨大レコーディング・スタジオを建設中
というニュースが掲載されいた。そこでバンドはタダでレコーディングをさせてもらい、原盤権はバンドがそのまま保持というシステムでアルバムを発売していく計画だということ。

というわけで、記事の中では、企業スポンサーによるレコード発売の良い点と悪い点が紹介されており、例えば、Def Jamと、P&G(?!)が提携してデビューする予定だったブルックリンのラッパー、Q da Kidの話。それは、途中で崩壊してしまったということ。彼によるとP&Gはまるで「音楽産業を理解していない。お金さえかければ売れると思っている。しかしそんな簡単なものではない」と語る。彼は、現在アルバムが発売できなくなってしまい、しかし契約のせいで身動きができない状態と嘆いている。

逆に、良い点としては、今時、メジャー・レーベルとの契約は必ず360度でしかも長期になるので、はっきり言って、企業スポンサーでアルバムを発売するほうがアーティストに自由があり”セルアウト”ではないということ。

この記事の中では、ベスト・コースとのベサニーがインタビューに答えていて、「今時音楽はいたるところにあるわけだから、それがブランドと結びついていたって何の問題もないと思うわ」と語っている。彼女は、この夏コンバースの要請で、Kid CudiとVampire WeekendのRostamとコラボの曲を発表している。「だってそんな素晴らしい話を断るほうがバカでしょ」と。
http://www.nytimes.com/2010/10/10/arts/music/10brand.html

ロラパルーザのスポンサー介入もかなり露骨だが、確か、去年のコンサートスポンサー額は、史上最高だったはず。ウィリアムズバーグで夏にやっているフリーコンサートに掲げられたスポーサーの旗の数も凄い。たかがウィリアムズバーグのフリーコンサートなのに……とびっくりするほど。もちろん素晴らしいメンツが揃うんだけど。でも、100万枚アーティストになる可能性はすごく低いバンド達なのにだ。

この記事でコンバースは「例えばこれから5年間でここから1000のバンドがデビューするとする。そのうち1つがレディオヘッドになったとする。そのバンドにはその後、メジャー企業からスポンサーしたいと申し入れが殺到するだろう。でも、残りの忘れられてしまう999バンドは、絶対に僕らのことを忘れない」と語っている……ってこれどういう意味なんだろうか?その残りの999バンドがコンバースを覚えててくれることが嬉しいということ?そんな良い話あるんでしょうか??または、それだけ超儲かっている……ってことかも。ストロークスが履いたおかげで、再びトレンド、定番になったからな。でも、Q da Kidも語っているように、企業の最終的な目的は、レコードを売ることじゃなくて、当然もっとコンバースを売ることだということ。バンドはそれを忘れないように賢く企業を利用して欲しい。
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