Jay-Z & Kanye West のライブを観た。こういうライブがないとダメだ。


Jay-ZとKanye Westが現在アメリカで”Watch The Throne“ツアーを行っている。土曜日にニュージャージーのアリーナに来たので、観て来たのだが感動した。


とにかくここ最近のアリーナ・ライブと言えば、大御所ロック・スターか、リユニオンか、という感じで、もちろんそれも素晴らしくて感動的なのだけど、やっぱり今のアーティストが、今最もスリリングと思えるようなライブをして、そしてアリーナ・クラスの会場を揺らしてくれないとダメである、とこのライブを観ていて思った。


このツアーが始まる前に、ビジュアル面において、カニエとJAY-Z がもめたという噂があった。カニエは赤字になってもいいから最高のものを作りたいという意見で、JAY-Zのほうは、なるべくシンプルにして収益を出したいという意見だったということ。


それで観てみて、そのちょうどど真ん中を最高の形で実現していたので、それにまず感動した。


可能な限りシンプルなのだけど、そのシンプルな中で、どこまで効率的で、驚きに満ちたもので、そしてアーティスティックに、最大のエンターテイメントとして表現できるのか、というその限界に思い切り挑戦していたのだ。


つまりそれが音楽的な部分においても、彼らの、とりわけカニエがやろうとしていることなのだと思うのだ。


最大公約数を引きつけながら、しかしどこまでアートを前進させるのか、ということ。そして、それをライブ会場で目撃、体験できるからこそ、その場にいることが、最もスリリングになるのである。それは、今ここで起きているこのアートの進化をアーティストの目の前にしながら体感するということだからだ。


それをこの満杯のアリーナが絶対壊れる!と思うくらい揺らしながら、このふたりは実現してくれた。というか、牽引しているのはやっぱりカニエなのだけど。


そして、これを観てしまったので、贅沢を言えば、カニエには単独で赤字覚悟のゴージャスライブを絶対にして欲しい。するべきだ!と思った。今一番観たいライブはそれだ。
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