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ひとりで自分の作品を語る時は口が重いが、誰かとの対談になるとサービス精神全開でいろいろしゃべってくれるアーティスト、結構いる。過去何人も出くわしてきた。ということを、本作を聴いていて思い出した。いや、椎名林檎はひとりでもしっかりしゃべってくれるタイプだが、前作はトータス松本や宮本浩次や櫻井敦司や向井秀徳等の男性アーティストを招いて作り (『三毒史』2019年)、約5年ぶりの本作ではPerfumeののっちや、新しい学校のリーダーズや、AI等の、7組の女性アーティストと共演している、というのは、そういうことなのではないか。自分以外の誰かにも歌ってもらうことにすると、己の中のサービス精神の扉が、自然にバカーンと開くのではないか。『三毒史』は先輩たちと作ったのに対し、本作は宇多田ヒカル(同期)以外は後輩たちであることも、それに拍車をかけている気がする。忌野清志郎も、誰かと一緒に作ることに喜びを見出す傾向のあるミュージシャンだったことを、思い出したりもした。(兵庫慎司)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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