遠藤周作『沈黙』M.スコセッシ&A.ガーフィールドで撮影決定!


マーティン・スコセッシがほとんど20年も映画化を計画しながら、中々資金繰りが付かずに映画化が遅れていた遠藤周作原作『沈黙』の撮影がとうとう決定したようだ。『Variety』が伝えている。
http://variety.com/2013/film/news/andrew-garfield-to-star-in-martin-scorseses-silence-exclusive-1200470625/

前回この映画化の話が浮上した時は、ダニエル・デイ=ルイスが主演を演じると言われていたが、決定版においては、アンドリュー・ガーフィールドが主演と発表!撮影は、2014年6月開始だそう。その他日本人のキャストには、渡辺謙とイッセー尾形が発表されているが、この作品はほとんど日本語で撮影される予定なので、これからもっともっと日本の俳優の出演が発表されるのではと思う。

資金繰りが付かなかったのも、それが原因で、宗教をテーマにしながら、日本語でほとんど撮影となると、スコセッシ映画としては観客が限られてしまうのではという懸念のためだった。

スコセッシが『沈黙』を読んだのは25年前のことで、『最後の誘惑』の試写をNYで行った後に本を受けた取ったのだそう。スコセッシはこの作品の「複雑なシンプルさ」に惹かれたそうで、「罠をすべて切り捨て、ドグマをすべて切り捨て、すべてを切り捨てて、言ってみれば、核となるもの、クリスチャニティのみと、または、キリストとのみと、対面させる作品だと思った」とのこと。「非常に優れたアイディアに思えるけれども、果たしてそれは実行できることなのか。もし実行できるのだとしたら、それは、本当に個人のレベルで向かわなくてはいけないものだし、結果どのように人は行動し、また自分の人生において人は他の人をどのように扱うのか、ということの中で実行されなくてはいけない」。

スコセッシは、本を読み終わった後すぐに、脚本化を開始したそうだが、他のプロジェクトのせいで、脚本が完成したのは1996年のことだったそう。そして、脚本が完成した頃には「ハリウッドの様子が変わってしまった」のだそう。そのため、この映画に資金を出してくれるスタジオがいなくなったということ。

さらに、現在カトリック教会が問題となりニュースのヘッドラインを飾っている時にこの映画を公開することについて不適切ではないかという問いには、「まったくそうは思わないよ。この作品は確かに宗教的なテーマを扱っているけれども、ここで僕が語りたいミステリーというのは、ロドリゴ自身の抱える矛盾と、そしてクリスチャニティの真髄なんだ。そして僕はそれは絶対に普遍的なものであると強く信じているし、僕らが人間として一体誰であるのかということに関係するんだと思うんだ」と。

スコセッシは、宗教的なテーマへの関心について「自分の人生の常に一部であった。それに関わっていない人にとっては理解しがたいかもしれないけど、僕は1950年代のNYのローマン・カソリックで育ってきた。僕は感銘を受けたのでその世界に入ってみたものの、15歳か16歳の時に、自分が思っていたよりずっと困難で、複雑であることに気付いたんだ。その使命においてね」と語っている。

またスコセッシは、篠田正浩監督による映画化は観ていないそう。

余談ですが、フリート・フォクシーズのロビン・ペックノールドも『沈黙』は最高に好きな小説だと言っていました。
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