ヒロト&マーシーに訊きました! 何を? 衝動を


ザ・クロマニヨンズにインタビューしました。
どうだ。大変だろう。

というのは、同業者ならわかっていただけると思います。
あと、彼らのファンで、過去のいろんなインタビューをつぶさに読んできた、という方も、「ああ、まあねえ」とわかっていただけるのではないかと。
曲とか歌詞とかについてきくこと、「今回のアルバムのコンセプトは?」とか「どのような作品を作ろうと思いましたか?」みたいな質問をすること、ヒロト&マーシーに関しては愚の骨頂。そんなん何も返ってこない。「考えてないよ」で終わり、全部。
おふたりに悪意があってそうなるわけではないらしい、ということは、ザ・ハイロウズを組んで2年目だっけ3年目だっけ、そのくらいの頃に初めてインタビューに行って爆死して以来、わかっているつもりではいるのですが。

なので。アルバムのことをきかない、曲と歌詞のことをきかない……いや、全然きかないわけじゃないんだけど「これならなんかしゃべってくれるというききかたはどんなもんか」「直接的には作品につながらないけど大きな意味でつながってる話は何か」ということを考えて、インタビューしてきました。

先のことも過去のことも考えない。だから未来も知らないし、予定も組まない。自分が書いた曲の意味など考えない。考えて作るものじゃないから。反射的に出てきたものだから。だからアルバムのコンセプトもないし、ここで自分は何を伝えたいなんて考えることもしない。ロックンロール最高、音楽最高、という衝動だけにただただ従いたい、やりたいことはそれだけ。
というザ・クロマニヨンズの姿勢……いや、姿勢だと考えとかも入る感じになるか。えーと、じゃあ本能。ザ・クロマニヨンズの本能をざっくりまとめるとそういう感じになる。ヒロト&マーシーはいつもそういうことを言っているし。
でも普通は、というかほぼ確実に、人はそんなふうには生きられない。考えちゃうし。過去にこだわるし。今が不安だし。未来はもっと心配だし。だから予定を立てるし。
というか、そもそも「ロックンロール最高、音楽最高」だけではやっていけない。それこそ、飽きちゃうことだってある。初めてロックンロールを聴いた時の衝撃を変わらないまま何十年も持ち続けることも、それに従って生きていくことも、まあ、無理だ。

なのになぜ、ザ・クロマニヨンズにはそれが可能なのか。どんなふうにその衝動に従って生きているのか。ということの一端が見える、そんなインタビューになったようです。すでに読んだ何人かの友人知人が「あれおもしろかった」と言ってくれたので。

10/28に発売になった『ROCIN’ON JAPAN』12月号に載っております。
ぜひ誌面でお確かめいただければ幸いです。(兵庫慎司)