人が生きる理由に迷うのと同じくらい、バンドも続く理由に迷うものだと思うし、やめざるを得ない事情だって星の数ほど存在するはずだ。ピーズの30年にしたって、我々が知っている限り紆余曲折ありまくりである。
でも、「死んじまえ」と「何も死ぬこたーない」の間で、また「死にたい」と「なんで自分が死ななきゃならねーんだ」の間で、夕暮れのブランコのように揺れ続けてきたピーズのロックンロールは、だからこそ終わることを選べなかったのだと思う。
自堕落で、欲望にまみれ、嫉妬深く情緒不安定な、ただ正直であるという一点のみにおいて鈍く煌めくロックンロールが、武道館をソールドアウトさせた。「次はみんなの葬式だな。嬉しいなあ、こんだけいると、なかなか死ねないね」というはるの言葉は、まるで彼の歌うロックソングそのものだ。
歌心と深いバンドグルーヴががっちりと手を取り合うニューシングル曲群も、後半の名曲連打でギアがさらに一段跳ね上がる感じも、これぞピーズの武道館という最高の手応え。
アビさんはずっと嬉しそうに弾きまくっていて、武道館の使用抽選の言い出しっぺであるというシンちゃんは「こんな大変なことになるとは」とファンの熱狂ぶりに戸惑っていた。(小池宏和)