スネイル・メイル、新作『ヴァレンタイン』インタビュー。Z世代SSWは、あくまでも淡々と、自然体のまま時代を乗り超えていく

rockin'on 2021年12月号 中面

「今の時代には共感が欠けていて、むしろ自分勝手、自己陶酔しようみたいな雰囲気さえ感じる。
でも、誰かと強く繋がろうとしない限り感じられない感情があると思う。
もし私の音楽にそういうものがあるとしたら、それはすごく大きいことだと思う」


共感と絶賛を集めたデビュー作『ラッシュ』によって、世代を代表するシンガー・ソングライターとなったスネイル・メイル。しかし、その突然の環境の変化で心のバランスを崩し、一時は回復施設で過ごす時期もあったという彼女にとって、今度のアルバム『ヴァレンタイン』の制作は“癒しと再生”を意味するものだったと想像する。

ロマンスや失恋、怒りや失望に翻弄される感情の揺れ動きが、包み隠さず率直な言葉で綴られた歌の数々。その切り口は確かに痛烈で悲痛だが、共同プロデューサーのブラッド・クック(ボン・イヴェール)と作り上げた流麗でドラマチックなサウンドが高揚感とカタルシスをもたらしている。

「今の自分をすごく誇りに思う」――そう自負する言葉どおり、『ヴァレンタイン』は困難を経て大きな充実を手にした彼女の等身大を伝えてくれる。(天井潤之介)



スネイル・メイルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


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