現在発売中のロッキング・オン4月号では、リンキン・パークの新作ロングレビューを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=増田勇一
目の前で提示される現実にいちいち納得させられながら、すべてが完璧に噛み合う気持良さを味わえた2日間だった。もちろんリンキン・パーク来日公演の話である。史上最強のカムバック作『フロム・ゼロ』の発売から3ヵ月経たないうちに実現した、さいたまスーパーアリーナでの二夜公演を目撃後、余韻として残ったのは“今”に対する満足感と、この先のさらなる進化に向けての期待感ばかりだった。
二夜を通じての公演内容の差異は、ごくわずかなものだった。2月11日の公演では、ちょうどその日が誕生日だったマイク・シノダ、ひと足早く8日に年齢を重ねていたフェニックスのために大きなバースデーケーキが用意され、エミリー・アームストロングの先導により会場内が“ハッピー・バースデー・トゥ・ユー”の合唱に包まれたり、鮮やかなイエローのコスチュームに身を包んでいたエミリーが「私、ピカチュウみたい」などと発言したりする微笑ましい場面も見られた。そういえば初日の開演直前には『ポケモン』関連の曲が流れていたが、翌12日にはそれが『ゴジラ』に変わっていた。当然、日本を意識しての趣向だろう。
そうした演奏と無関係な要素を除けば双方のショーはほぼ同内容だった。初日の2曲目に“クローリング”が配されていたのに対し、翌日にはそれが“ポインツ・オブ・オーソリティ”に、それと同様に中盤の“カジュアルティ”と“キーズ・トゥ・ザ・キングダム”さらに、アンコール楽曲の差し替えがあったが、それ以外に具体的な差異は見当たらなかった。そして二夜の公演に共通していたのは、一分の隙もなくプログラムされた機能的なライブパフォーマンスの完璧さと、次々と繰り出される必殺曲に歌声を重ねるオーディエンスとの合致感の素晴らしさだった。
オープニングに据えられていたのは“サムホエア・アイ・ビロング”だった。第2作『メテオラ』から生まれた代表曲のひとつだ。実際の歌詞の文脈中でのニュアンスはともかく「自分の居場所」という意味合いのタイトルが掲げられたこの曲でショウが幕を開けるということ自体が素敵だ。まるでステージという然るべき場所に彼らが帰還を果たしたことを示唆しているかのようでもある。(以下、本誌記事へ続く)
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