再結成からチェスター加入そして脱退、現在までのストーン・テンプル・パイロッツの歴史を追う
2017.11.11 15:30
新たなフロントマンを迎え、チェスター・ベニントンの死後初となるライブを行うことを発表したストーン・テンプル・パイロッツ。
チェスターは2013年から2015年の間、当時薬物中毒に苦しんでいた故スコット・ウェイランドに替わって、リンキン・パークと兼任でバンドのボーカルを務めていた。
ストーン・テンプル・パイロッツの再結成(2008年)後、チェスターがバンドに参加した経緯、そして今に至るまで何があったのか、rockinon.comに掲載した記事でまとめてみたい。
そもそもSTPは1990年代前半に沸き起こったグランジ・ムーブメントの隆盛の中で人気を集めたが2003年に解散。ボーカルのスコット・ウェイランドは、元ガンズ・アンド・ローゼズのメンバーとともにヴェルヴェット・リヴォルヴァーを結成していた。
2008年にバンドは再結成を発表、フェスへの出演をアナウンスする。
スコットはヴェルヴェット・リヴォルヴァーと決別、「今さら多くを語ったところで言いわけになってしまうと思うけれど、あのバンドにはいろいろな面で問題があった。もちろん音楽的に楽しめる要素も多かったし、インスピレーションに溢れていた時期もあった。しかし、メンバーのうち一人を除いた全員がしばしばリハビリ施設に入るという状況だったことは忘れがたい事実だ」とコメントし世を驚かせる。
そしてSTPが本格始動、再結成ツアーを行う。
9年ぶりの新作ディスクレビューはこちら。
バンドはライブなど活動を行っていたが、2013年、バンドはスコットのクビを宣言。声明文には「ストーン・テンプル・パイロッツはスコット・ウェイランドとの関係を断ったことを公式に発表しました」とだけ書かれており、理由などはわからなかった。
この声明に対し、スコットは「ストーン・テンプル・パイロッツから自分が『断たれた』ことを今朝、音楽誌で読んで知ったよ。一体、どうすれば、自分が結成し、自分がヴォーカルを務め、最大のヒット曲の多くを共作してきたバンドから『断たれる』ものなのかどうかわからないけど、それは弁護士が考えてくれるようなことだ」とコメント。
なお、2012年から計画していた『コア』(1992年)の全曲ライブを実行に移す際、多くの楽曲でついてスコットの声が出なくなってしまっていたため方針が二転三転し、バンド内の軋轢を生んだことがこのクビ宣言に繋がったと考えられている。
スコット追放(2月)から間もなく、バンドは5月にはチェスター・ベニントンをボーカリストに迎えた新曲“Out Of Time”を公開。
バンドはチェスターについて「長年魅了されてきた声の持ち主なんだ。僕らは、常にリンキン・パークが彼のプライオリティになることを知っているけど、一緒に何かをやれたらクールだと思ったんだ」とコメント。
さらにチェスターは「俺は13歳の頃からストーン・テンプル・パイロッツを愛していて、本当に大きな影響を受けてきたんだ。彼らと一緒にクリエイティヴな何かをやれる機会がいざ来たら、僕はそのチャンスに飛びついたんだよね」とファンであることを表明。
また、リンキン・パークのメンバーも応援してくれていることを明らかにした。
チェスター加入と同月、STPがスコットを訴える。訴状ではスコットの薬物依存とスコットが練習などに現れないことから、バンドの活動が著しく損なわれていたことを明らかにしている。
さらに訴状ではスコットに対して、ソロ活動の宣伝のためストーン・テンプル・パイロッツの名前を使うことやライブでストーン・テンプル・パイロッツの楽曲を演奏するのをやめるように訴えている。
STPは5月18日・19日にチェスターをボーカルとしてライブを決行、さらに5月19日に新曲“Out of Time”の無料配信をスタートさせた。このような動きにスコットは自身のFacebookでバンドを批判。
以下がFacebookに投稿された文章の一部。
「みんなと同じように俺は自分のバンド、ストーン・テンプル・パイロッツが新しいヴォーカルを迎えてライヴを行ったことを読むことになったよ。正直言って、驚いた。そして傷ついた」「連中が自分をなんと呼ぼうと構わないけど、とりあえずあれはストーン・テンプル・パイロッツではないんだよ」
バンドからの訴えに対し2013年、スコットは「バンドには自分を排除する正当な権利を持っていない」として反訴、500万ドル(約5億円)に及ぶ損害賠償を求めた。
ただ、スコットはチェスターについては怒りを感じていなかったようで、「俺はチェスターのことは昔から知ってるんだよ。(2001年の)ファミリー・ヴァリューズ・ツアーで一緒になってから親しくなったんだ。俺はチェスターが悪意をもってバンドに加わったとは思ってないよ」とインタビューに答える場面も。