スパークス来日ツアーが、昨日LINE CUBE SHIBUYAで幕を閉じた。昨年サマーソニック&単独公演から1年ぶりの来日ながら、追加含め全公演ソールドアウトとなった熱い3日間、その余韻から抜けられない方も多いのでは。
「トーキョー、いきましょー」というMCから始まって、映画『アネット』のオープニングでも観客を鷲掴みにした“So May We Start”、そしてケイト・ブランシェットのキレッキレのダンスがMVで話題になった“The Girl Is Crying In Her Latte”へ。
50年ぶりにアイランド・レコードに復帰しての8年ぶりの新作『The Girl Is Crying In Her Latte』からのフレッシュなナンバーと、50年愛され続けた名曲たちが織り混じった嬉しいセットリスト。旧来のファンはもちろん、エドガー・ライト監督の映画『スパークス・ブラザーズ』や前述のレオス・カラックスによって出会った若い世代からの、「伝説」を目の当たりにした感動とリスペクトもすごかった。
“Angst In My Pants”“When I’m With You”など代表曲をはさみながら、新作の“Nothing Is As Good As They Say It Is”へ。22時間前に生まれたばかりの新生児の視点で歌われた曲で、この時代に聴くとよりせつなく痛烈に響く。ラテとか、エレベーターとか、赤ちゃんが生まれた祝福感とか、世界中の誰もが共感できるテーマや価値観を新しい視点で切り取るユニークな才能はさすが。そして、みんな大好き“This Town Ain't Big Enough For Both Of Us”から、新作のドラマティックなラストナンバー“Gee That Was Fun”へ。
アンコール“My Baby’s Taking Me Home”“All That”が終わっても客席からの熱い拍手は鳴り止まず、ラッセルは何度もお辞儀をし、ロンを前に押し出したり、ステージを右に行ったり左に行ったりしながらずっと手を降っていた。
5月から始まったUK・ヨーロッパツアー、グラストンベリー、北米ツアー、そして地元LAハリウッド・ボウルを経ての最後の日本公演。ツアー最終日の感慨もあっただろうが、その様子は相思相愛の相手との別れを惜しむようだった。明確な居場所を持たない、どこに行ってもどこか異端者だからこそ、世界に開かれ愛される。「またすぐに、すぐに戻ってくるよ!」とラッセルは言い、ふたりはステージから去って行った。
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