【今月の気になるあいつ】 テディ・スウィムズ
R&B、ソウル、ロックを融合したセンスあふれる楽曲と、表現力抜群のボーカルを聴かせるSSW。2019年より開始したYouTubeでの名曲カバー動画が話題となり、翌年メジャーデビューを果たす。2023年9 月には待望のデビューアルバムをリリース。本作のシングル“Lose Control”は長らくチャートインし続け、2024年2月には全米2位を記録した。現在発売中のロッキング・オン4月号では、「気になるあいつ」にてテディ・スウィムズを掲載しています。本記事の一部をご紹介。
文=高見展
昨年6月のシングル“Lose Control”がアメリカでチャートインするなど各国で大ヒットしたことで、その後リリースされたアルバム『I’ve Tried Everything But Therapy(Part 1)』も大きく注目されることになったテディ・スウィムズ。なんといっても魅力はそのソウルフルなボーカルだ。
たとえば、“Lose Control”などはクラシックというか、60年代のブルース感の強いソウルバラードになっていて、この力強くもやるせないボーカルパフォーマンスがすごい。かといって、ただパワーで押しまくるわけではなくて、声の高さと甘さと節回しの繊細さもあって、しかも、やたらこれが響いてくるし、沁み込んでくる。《きみがいないと俺はもう理性を失ってしまうんだ》という心境を見事に歌いきってみせている。
その大柄な容姿からテディ(熊さん)と呼ばれていて芸名にしたというが、さらにタトゥーを頭部や腕にもびっしり彫り込んだルックスからは想像できないほどの完成度の高いボーカルの表現力を誇っている。特にこの曲の仕上がりは非の打ちどころがなく大ヒットしたのも当然だ。
さらに頼もしいのは共作クレジットも多いものの基本的に自作曲だということだ。というわけで“Lose Control”ではブルージーなソウルバラードを意識したのだろうが、そのほかの収録曲“What More Can I Say”などは70年代のフィリーソウル的なポップなアレンジとともに、相手を引き留められなくて別れに直面する歌い手の心境を歌ったものだ。ただ、“Lose Control”とは違って、細かな情景描写や心境吐露などが続き、その歌詞を絶妙なリズムで綴っていく時の歌があまりにも見事で、素晴らしい。実はこの曲がアルバムからのファーストシングルだったのだが、チャートインしなかった名曲なので“Lose Control”が大ヒットして本当によかったと思う。
(以下、本誌記事へ続く)
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