プログレッシブであり、ラテンであり、アヴァンギャルド――ジョーディーの楽曲を一言で括るのは難しい。しかし、即興性に満ちた怒涛のパフォーマンスから浮かび上がったのは、そのすべてを包み込む音楽的野心と、その瞬間を全身で楽しむミュージシャンとしての多幸感だった。
知的なクリエーションという印象を抱かせながらも、会場に響き渡ったのは、理屈を超えてリスナーの肉体に直接訴えかけるセンセーショナルな音楽体験。その抗いがたい衝動の中で、リキッドルームに詰めかけたオーディエンスは熱狂と歓喜の渦に包まれていた。
約2時間にわたる壮大なセットリストの中で、一瞬たりとも視線を逸らせないほどの熱量とスキルを放ち続けたジョーディー。その圧倒的なパフォーマンスには、新たな潮流を生み出す確かな力が宿っていた。
ソロキャリアを歩み始めたばかりとは思えないほどの存在感を示したジョーディー・グリープ。次の来日公演でも、さらなる進化を遂げた圧巻のステージを見せてくれること間違いなしです!(北川裕也)