2022年に名門:マタドールから『Versions Of Modern Performance』でアルバムデビュー。ドリームロック〜ローファイ系なモダンオルタナのど真ん中をあっさりと射抜き、世界中のインディギター好きを沸かせたシカゴ発のヤングチーム、ホースガールが待望のセカンドで帰還。
ファーストは故スティーヴ・アルビニが手塩にかけたエレクトリカル・オーディオ・スタジオにて録音され、プロデュースはUSインディ界の生き証人と言えるベテラン:ジョン・アグネロ(ソニック・ユース、ダイナソー・Jr.、カート・ヴァイル他)が担当。彼女たちを育んだ地元シカゴのDIYなライブ&ファンジン界の美学を反映した、等身大でてらいのないサウンドと18歳の本音、そして覚醒感のあるナイーブポップは、「ここで何かが始まっている」とドキドキせずにいられない産直ドキュメントにして一服の清涼剤だった。
2月リリースの新作セカンド『Phonetics On And On』で、彼女たちはウィルコのお膝元スタジオであるザ・ロフトにて、ウェールズの俊英ケイト・ル・ボン(ジョン・グラント、デヴェンドラ・バンハート、ウィルコの『カズン』他)をプロデューサーに迎えた。ファースト発表後にノラ・チェン、ペネロペ・ローウェンスタイン、ジジ・リースの3人はニューヨークに移っているが、シカゴという素晴らしい音楽都市との絆を2作連続で維持し、リスペクトする姿勢は麗しい。何より、前作発表後みっちり世界をツアーして回り、大先輩:ブリーダーズの前座も体験した成長ぶりがアルバム1曲目からクッキリ伝わって来るのが最高だ。もともとシンプルなコードを軸足に淡々と積み重ねていくタイプのバンドとはいえ、空間を活かしたクリアな音作りや内省的な歌詞も含め、今回はミニマルな方向にシフト。リバーブとディストーションがたっぷり効いた音の泡の中を、スウィートな歌声が吹き抜ける——そんな、ラムネを思わせるファジィな音世界に潜んでいたホースガールの音楽的なコア=天衣無縫なメロディシズムが堪能できる。このめざましい1枚について、本誌は次号で取材する予定。どうぞ、お楽しみに!(坂本麻里子)
ホースガールの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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