現在発売中のロッキング・オン3月号では、マニック・ストリート・プリーチャーズのインタビューを掲載!
以下、本インタビューの冒頭部分より。
「自分たちのエネルギーを内に向けるとゼロサムゲームになってしまうことに気づいたんだ。エネルギーを失い、目的を見失い、行き詰まってしまう。だからこそ『ホーリー・バイブル』のあとも別の一歩を踏み出したわけでさ」
●昨年末にインタビューさせてもらった際に、「『ライフブラッド』のリイシューをやったことで、音楽に余白を設けることで音や言葉が呼吸できるようになるのだと気づいた」とおっしゃっていましたが、その気づきは『クリティカル・シンキング』でもまさに生かされているように感じました。
「そうだね。新作について言うと、確信していることが少ない状態で何かを決めつけずに歌うときは、リスナーや他の人たちが判断するための余地を残すべきだと思ったんだ。年を取れば取るほど、何もかもが不確実に思えてくるんだ。特に僕らの年代は、もはや自分たちの世界じゃなく、他の誰かの世界になっていることに気づいているからさ。正直なところ、自分の意見よりも他の人の意見の方がずっと興味があるんだ。この2月で50歳より60歳の方が近くなるし、56歳にもなってすべてを知っているふりをしても意味ないよ」
●直近の何作かはコンセプト集約型というか、エネルギーが内に向かっている感があったと思うんですが、今回はむしろ開放型、エネルギーが外に向かって放射状に伸びるような作品ですよね。今、なぜそうした方向に向かったんでしょうか。
「自分たちのエネルギーを内に向けるとゼロサムゲームになってしまうことに気づいたんだ。エネルギーを失い、目的を見失い、行き詰まってしまう。行き先がなくなってしまうんだ。だからこそ『ホーリー・バイブル』のあとも別の一歩を踏み出したわけでさ。もちろんリッチーの件があったことで違う方向に進まざるを得なくなったというのもあるけどね。でも『ホーリー・バイブル』路線のままではあれ以上進めなかった。そのまま進んでいたら行き詰まって壁にぶち当たっていたと思う。歳を重ねると、政治でも経済でも、すべてが確実でないことに気づく。左右が真ん中で交わり始めたり、左派の人々が対立相手ではなくお互いを攻撃し合って内部で争っていたり。そして、すべてがますます不確実になっていき、必然的にソングライティングも不確実なものになる。
僕とニックが初めて曲を書いたとき、自分たちの標的は明白で、炭坑ストライキ、マーガレット・サッチャー、英国政治の中央集権化、スコットランドやウェールズ、イングランド北部への無関心と、標的がはっきりしていたんだ。でも今はそういった曲は書けない。労働党はネオリベラリズムのような問題に取り組みながらも依然として人々に安価で働くよう促している。安価な労働力は経済を拡大するためのもので実際に人々が稼げるものではないんだ。だから労働党を信じるのは難しいし、左派はいつも互いに攻撃し合っている。もちろん右派を信じることは絶対にないしね。それがソングライティングにも反映されて、何もかもが不確実に思えてきて、それで他の解決策を見つけようとする。希望や光を記憶のなかに求めたり、あるいは本だったり他者だったり、もしくは他の言語とか、他にもたくさんあるわけだからさ。
ニッキーはまたちょっと違って、だからバランスがいいんだ。もしお互いが似過ぎていたら作品が苦しむと思う。僕らが十分似ていて十分違っていることでバンドのフォースにバランスがもたらされているんだよ」
(以下、本誌記事へ続く)
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