バンプ・オブ・チキンのスタジアム・ツアー、ファイナルを観て思ったこと

最新作のインタビューで、このアルバムはスタジアムで歌うことの覚悟が強く伝わる作品だと、僕は藤原くんに言った。スタジアムの空気を揺らした「Butterflies」からの曲たちは、たくさんの人に共有されることによって、より一層ひとりひとりの内面に近づくという奇跡を起こした。
多くのファンが知っていることだが、BUMP OF CHICKENはスタジアムを得意とするバンドではない。今回は彼らにとって初のスタジアム・ツアーだ。まさにステージでチャマが言っていたように「スタジアム・ツアー童貞」なのである。
動員力的にはいつでも可能だったスタジアム・ツアーをしなかったのは意図的なことだった。
あくまでもお客さんとの距離にこだわり、彼らはライヴを行なって来た。歌の届く距離、それはBUMP OF CHICKENにとって重要なことだった。そんな彼らが今回スタジアム・ツアーに踏み切ったのは、曲がスタジアムで鳴らされることを求めたからだ。
アルバム「Butterflies」の曲たちは、ライヴの空間で多くの人たちに共有されることを求めた。その声を聞いたメンバーがスタジアムに立つことを決意したのだ。
今日、日産スタジアムにいた人たちは、まさに曲が鳴るべき空間で鳴っていることを感じたはずだ。
無論「Butterflies」の曲が、これからライヴハウスで鳴らされることもあるだろう。きっとそれも素晴らしい感動を呼ぶパフォーマンスになるだろう。ただ7万人に共有された歌の持つ力の強さ、それがどれだけ凄いものか、それをBUMP OF CHICKENはアルバム「Butterflies」とスタジアム・ツアーによって証明してみせた。
2時間半はあっという間だった。終わらなければいいのに、日産スタジアムにいる誰もが思ったことだろう。
このツアーはBUMP OF CHICKENの新しい時代のスタートを宣言するものだと僕は感じた。僕らは彼らにもっともっと多くのことを期待して大丈夫だ。きっと彼らは期待以上のもので、応えてくれる。新曲も素晴らしかった。
たくさんの希望を持って帰れるライヴだった。
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