9年目の「教祖爆誕」はポルカの大復活祭だった!

9年目の「教祖爆誕」はポルカの大復活祭だった!
この「教祖爆誕」というライブは、ポルカドットスティングレイが毎年10月15日の雫の誕生日当日に行っているもので、もう9年目になる。
メジャーデビュー前に小さいライブハウスから始めて、コロナ禍では配信ライブに形を変えながらも続けてきた。
今更言うのもおかしいが、誕生日イベントで自身を「教祖」とネーミングするのはかなり勇気がいることだ。シリアスなアーティストが大真面目にそんなタイトルを付けたらきっとドン引きされるだろう。ただ雫は、等身大の自分を客観視して一部ギャグにできる知性と、独特のカリスマ性の両方を持ち合わせている。だから「教祖爆誕」という際どいイベント名が成立しているのだろう。

雫はシンガーソングライターでありながら、自身の内面を吐露したり感情を擦り減らして曲を作ることをよしとしない。冷静に求められるものに向き合おうとするそのスタイルは職業作家に近い。それによってオリジナルな歌詞と音楽的バリエーション豊かな楽曲を量産してきた。そうした独自のスタイルを貫きながら順調にステップアップしてきたポルカだが、少し前から活動ペースに変化が生じてきた。ファンは不安になっただろうが、どうやら制作に専念しずらい外的要因が影響していたようだ。

そして、それが解消した現在、停滞していた期間のことを公言し、これから「第二章が始まる」と積極的に発信している。
そんな節目のタイミングで行われたZepp Hanedaでの「教祖爆誕」は、第二章への熱い決意が感じられる力強いライブだった。
"ラブコール"という、珍しく雫が自らの心情をダイレクトに綴ったシンプルなロックナンバーがあり、いつもワンマンではハイライトで歌われる。大サビの歌詞をライブでは変えて「ごちゃごちゃうるせー!かかってこい!」と叫ぶのだが、それが鬼気迫る迫力で、まさに第二章の幕開け、復活への狼煙のように聞こえた。

雫は32歳になった。女子の32歳は本厄なのだそう。だがポルカドットスティングレイの本厄はこの日で完全に明けたように見えた。
(海津亮)


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