ハイエイタスの今回のツアーは音楽的な意味においても、バンドの在り方という意味においても、細美武士というアーティストの成長という意味においても、あまりにも大きな意義があるツアーだった。
これほど特異な個性とキャリアを持つメンバーが集まり、今の日本のロック・シーンにおいてまったく新たな音楽性を提示したアルバムを引っ提げて、最後にはこれだけ壮大でしかもハッピーな音楽空間を作り上げたハイエイタスの今回のツアーは、偉業と呼んでもいいと僕は思う。
そして、このツアーの間には、エルレガーデンを休止してハイエイタスを始めた細美に常について回った「自信喪失」の感覚からメンバーと音楽の力によってついに細美自身が解放された、というもう一つの物語もあった。
あらゆる意味で、これまでのハイエイタスのツアーの中で最もドラマチックで、観る方にとっても達成感のようなものを掴めるツアーだった。
ハイエイタスが始まった時に、「ロックの未来はこのバンドの行く末にかかっている」と大風呂敷を広げさせてもらったが、それは間違ってはいなかったと彼ら自身がステージの上で証明してくれたファイナル公演だったと思う。

現在発売中のJAPAN最新号の細美武士インタヴューを、まだ読んでいない人はぜひとも読んで欲しい。