9月7日に新作『エジプト・ステーション』がリリースされるのに続いて、10月31日から11月8日まで来日3公演を発表したポール・マッカートニー。ただ、新作を引っ提げてとはいえ、前回の来日は昨年の4月。通常の洋楽アーティストだったら、まだ来たばっかりなのに、という感覚もないわけではない。なんでこんなに早く日本にまた来るのか。ひょっとしたら、ポールは日本のお客さんはカモだと思っているのだろうか?
しかし、ここでよく整理してみるとわかってくるのは、ポールは実に精力的にツアー活動を行っているということで、1989年以来、ポールはオフを挟みながらずっとツアー活動を続けているのだ。それ以前のポールのツアーはウイングスを引き連れてのもので、79年にそれがいったん終わったのは、言うまでもなくポールが大麻をスーツケースに仕込んで成田空港で現行犯逮捕されたあの事件のせいだ。その後、ジョン・レノンの死もあって、ポールはしばらくツアーの現場から離れることになった。
それから10年間のブランクを経て、ポールはほぼコンスタントにツアーを続けているし、おそらく現在のポールの活動の基本はライブにあるといっていいのだ。ただ、公演地はこれまでポールのライブをいつでも観る気になるお客さんの多い、北アメリカとヨーロッパが軸となっていて、折に触れて南アメリカと日本にも行くというものになっていた。
それがここにきて日本公演の頻度が大きくなってきたのはどういうことなのか。それは日本人は欧米並みの太客だというのがわかってきたということで、わりといつでもポールを、なんだかんだいっても観たがる贔屓として認識されたということなのだと思う。あれだけの歴史的な偉業を持つお方が、こうやってしょっちゅう当地に足を運んでくれること自体が、なんか単純に大きな意味があると思うのはぼくだけだろうか。
しかも、今回は新作を引っ提げて来てくれるのである。日本の前に新作群をライブで聴いているのはカナダの4公演のみなのだ。そして、この新作がシングル“アイ・ドント・ノウ”を聴けばわかる通り、ポールの泣きとポップとロックが合わさった究極の傑作となることはまず間違いないはず。いつだってポールを観るのはすごい体験であるはずだが、今、この新作のタイミングで世界で5公演目から7公演目の間で観られるのはとてつもなく幸運なことなのではないかと思う。(高見展)
来日公演と『エジプト・ステーション』の詳細は以下。
●リリース情報
『エジプト・ステーション』2018年9月7日発売
解説/歌詞・対訳付
◯CD [SHM-CD仕様]
UICC-10040 / ¥2,600(税抜)+税 / ボーナス・トラック2曲収録
◯2LP [直輸入盤仕様]
UIJC-90001/2 / ¥7,800(税抜)+税 / 180g重量盤LP / 2枚組(ブラックLP) / 完全生産限定盤
◯限定2LP [カラーLP] [直輸入盤仕様] [Universal Music Store限定商品]
PDJI-1041/2 / ¥9,800(税抜)+税 / 180g 重量盤LP / カラーLP 2枚組 / 完全生産限定盤
<トラックリスト>
1. Opening Station
2. I Don’t Know
3. Come On to Me
4. Happy With You
5. Who Cares
6. Fuh You
7. Confidante
8. People Want Peace
9. Hand in Hand
10. Dominoes
11. Back in Brazil
12. Do It Now
13. Caesar Rock
14. Despite Repeated Warnings
15. Station II
16. Hunt You Down / Naked / C-Link
17. Get Started*
18. Nothing For Free*
*ボーナス・トラック