パール・ジャムが6年半ぶりに世に放つ新作『ギガトン』――米大統領選など迫りくる巨大トレンドを前に完成した力作、その注目ポイントは?

パール・ジャムが6年半ぶりに世に放つ新作『ギガトン』――米大統領選など迫りくる巨大トレンドを前に完成した力作、その注目ポイントは?

パール・ジャムが、6年半ぶりとなる最新アルバム『ギガトン』を3月27日にリリースする。すでに、収録曲の中から“Dance Of The Clairvoyants”も先行公開された。マット・キャメロンが打ち込みで用意したリズム・パターンをもとに、ジェフ・アメンがキーボードを重ね、そこに他のメンバーもそれぞれのパートを加えていって合作で完成させたという同曲は、トーキング・ヘッズを思わせるダンサブルな作風に仕上がっており、これまでの彼らにはなかったような新鮮な刺激を与えてくれる。


ジャケットに使われたポール・ニックレンによる写真は、地球温暖化の影響で氷河が溶け始めた様子を捉えたもの。『ギガトン』というタイトルも、それだけの単位で氷が失われていくことを表しているらしい。スタジアム級の人気を保ちながら、様々な社会問題に説得力を持って言及していくことが可能な数少ないロック・バンドとして、世界中で議論されている気候変動に対する強いステートメントを打ち出さずにはいられなかったのだろう。今年はアメリカ大統領選も行なわれるし、そうした事象が収録曲の内容にどう反映されているのかも注目だ。

一方で、盟友だったサウンドガーデンクリス・コーネルが2017年にこの世を去ってしまった悲しみも、作品の背景に横たわっていることは間違いない。公式サイトには「このレコードを作るのは長い旅だった。感情的に暗く混乱した時期もあったけれど、音楽的な救済を目指すエキサイティングでエクスペリメンタルな地図でもあった」という、マイク・マクレディのコメントが掲載されている。大きな視座と私的な想いの両極を内包した、入魂の力作が登場してくるはずだという期待は高まる。

もちろん大々的なツアーも開始され、3月から北米、6月からはヨーロッパを周る予定が発表済みだ。ちなみに、7月10日にロンドンのハイドパークでピクシーズらをゲストに迎えて行なわれる大規模ライブは、すでにソールドアウトとなっている。


2017年の末、新宿の映画館に彼らの映画『レッツ・プレイ・トゥー』を観に行って、曲と演奏と歌の力だけで巨大なオーディエンスを掌握できる、唯一無二の存在であることをあらためて実感させられた。20年代でも、いや、むしろ2020年の音楽シーンだからこそ、パール・ジャムがその凄さを最大限に発揮する局面はあると確信している。(鈴木喜之)
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