ただのヲタバンドではない

空想委員会『種の起源』
2014年06月04日発売
ALBUM
空想委員会 種の起源
空想委員会はなぜ自らを「委員会」と名乗るのか。なぜメンバーはお揃いのスクールユニフォームを着て、非モテを強調した自我肥大型恋愛ソングばかりを歌うのか。その理由は簡単で、それが自分たちを売り込み、ユーザーに感情移入を喚起する上で効果的だったからだ。キャラクターをあらかじめ規定することで構造を単純化し、受け手のリテラシー如何にかかわらず入ってこれる敷居の低さを実現する。学校という設定によって、誰しもが共鳴できるポイントを用意する。イメージだけではない。音楽においてもそうなのだ。本作で鳴っているのは聴けば聴くほどまっとうなJ-ROCKである。2000年代以降のジャパニーズ・ロックから要素を抽出して再構築したようなその優秀なサウンドもまた、定型化されたフォーマットを援用することでリスナーが理解するプロセスを大幅にショートカットしている。そのユーザーフレンドリーなあり方が今の時代にウケないわけがないし、何より空想委員会はそのクオリティが半端ではない。2014年的な彼らの正しさを、このメジャーデビューアルバムは証明している。(小川智宏)
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