騒動が落ち着いた後、正当な評価が出るはず

U2『ソングス・オブ・イノセンス-デラックス・エディション』
発売中
ALBUM
U2 ソングス・オブ・イノセンス-デラックス・エディション
言うまでもなく、ある日iTunesを立ち上げたら勝手に追加されてたアルバムということで、大変な話題を巻き起こした作品。スムーズに削除できない仕様だったのがマズかったらしく、自分の目に入ってきた範囲では、正直あまり評判はよろしくない。ただ現時点では、苦情も多かったとか、知らない人からの「U2って誰?」というリアクションとか、ネガティヴなものばかりが集められて目立ってると思うので、普通に嬉しいとか、バンドは知らなかったけれど折角だからと聴いてみたら気に入ったとかいう事例の数字も追わないと、失敗かどうかは即断できないだろう。これまでもU2はずっと、クールでスマートそうにしながら、どうにもダサくて野暮なやり方で歩んできたし、物議を醸したりバカにされたりしつつ正面から世界的なバンドにのし上がってみせた人達なわけで、今回の件も最終的にはプラスにしてしまう気がする。

で、肝心の音楽的な内容だが、自分はじっくり聴いてみて素直に良いアルバムだと思えた。中盤から好きな感じの曲が多い。ただ、ネット時代のリスニング事情を考えると、頭の1曲だけでも一発で「なんじゃこりゃ?」と思わせるような『アクトン・ベイビー』級のカマし、あるいは“ヴァーティゴ”以上の下世話感とかが必要だったとも感じる。そのためにプロデュースをデンジャー・マウスに依頼したんじゃないのか?とも。まあ“ザ・ミラクル(オブ・ジョーイ・ラモーン)”もタイトル含め面白い曲だとは思うし……しばし間を置いてからの再評価に期待したい。(鈴木喜之)
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