軽快なロックンロールにのるのは、懐かしく、情緒的なメロディ。生き急ぐように突き進んでいく威勢の良さと同居するのは、かげろうのような青春期を慈しむ、もののあはれだ。go!go!vanillasの音楽が胸をざわつかせ、甘酸っぱさで満たすのは、かけがえのない時の光景が封じ込められているからだろう。初めて聴くレコードに針をおとす瞬間の緊張と、そこから広がる興奮。本や映画を貪って、構築していく自分の内なる世界。とにかく新しい何かを知りたい欲求と、ままならない思いを言い当ててくれるものとの出会いを求めていた頃。そんな季節が、美しく詰まっている。ワン、ツー、スリー、フォーを合図に、胸ざわつかせた時へとひとっ飛びさせるパワーと、60年代から今へと繋がる音の森をワクワクしながら切り開いていくクリエイティヴなサウンドで、踊らせる。《この目映ったら 全て焼きつけて/生きてこうと思った》《ネバーエンディングストーリーさ/まだまだこんなもんじゃない》(“ティーンネイジャーズノイズ”)。一瞬のきらめきを普遍のロックンロールの輝きに変える、バニラズの今が鳴っている。(吉羽さおり)