クラムボン結成20周年を記念してのトリビュート・アルバム。彼らの尊敬する大先輩から、彼らを尊敬する後輩、昔からの仲間、同世代のライバル、まったくの異ジャンルの人までさまざまだが、若手というより自分の世界をしっかり確立したアーティストが参加している。ポップでありながらプログレッシヴ、キュートでありながら意外なぐらい実験的でもある、というクラムボンの高度な音楽性を噛み砕き、原曲の良さを生かしながら自分の個性で再構成していく、という作業が、ポッと出の新人には難しいということがあるのだろう。そして、ここに収められた14曲は、まさにそういうものに仕上がっているのである。
アマチュア時代からの仲間ハナレグミが、インディーズ時代の楽曲“華香るある日”をカヴァーするなど、アーティストと楽曲の組み合わせも妙味。個人的な白眉は面白いアイディア満載のバッファロー・ドーター“ロッククライミング”や、もはやdownyのオリジナルとしか聞こえない“5716”、いかにもソウル・セットらしいアーバンな“はなればなれ”など。楽しいアルバムです。（小野島大）