休止期間中にもメンバーは、コリン・タッカー・バンドやワイルド・フラッグ、そしてクワージでそれぞれ優良な作品を作ってきたけれど、やはりこの3人ならではの化学反応には特別なものがある。そして、しばし空白期間を置いたことで確実なリフレッシュが果たされ、今作における共同作業に新たなエネルギーが湧き上がっているのは明白だ。
ベースレス編成のため、時にボトムが曖昧になる音像を逆手にとりながら、強力なドラムを土台に2本のギターが絡み合う形で独自のグルーヴを生み出すバンドだが、前作ではデイヴ・フリッドマンによるプロダクションで全体のアンビエンスとしてヘヴィネスを増強しているように感じられた。逆に本作では、ボトムに太い芯が1本通っているような曲が多いという第一印象。もちろん、どの楽曲も粒揃いの濃密な聴き応えで、個人的には、もう15年のベストとまで言ってしまいたい。(鈴木喜之)