ジャネット・ワイス(Dr)がバンドを離れ、コリン・タッカーとキャリー・ブラウンスタインの体制となったスリーター・キニー。バンドを立ち上げたふたりという原点に返っての10thアルバムは自身初となるセルフ・プロデュース作。
セイント・ヴィンセントとタッグを組み、革新者同士の知的センスと情熱、音楽的野心のかけ算をドラマティックに昇華した前作『センター・ウォント・ホールド』を経て、今回はミニマルな、これぞスリーター・キニーたるバンドの美しい骨格を見せている。
直線的だが心躍らせるエッジを持ったビート、ウィットに富んだフレーズでサウンドを高揚させるギター、そこに軽やかにビンタを喰らわせるコリンのパーカッシブな歌が響く。馴染みある姿がそこにあるだろう。だが丁寧なプロセスを重ねながら再構築したそれは、強固で、鮮烈な輝きを放っている。(吉羽さおり)
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