サバプロのライヴを初めて観たとき、空間を引き裂くようなメタルコア・サウンドの鋭さと、緩急際立つポスト・ハードコア・サウンドの艶のある美しさに圧倒された。そのなかでも鳥肌ものの存在感を放っていたのがヴォーカル・Yosh Moritaだ。壮大なメロディを歌い上げるヴォーカルゼーションは、稀にみるエゴを持っていた。その強烈なエゴを感じれば感じるほど、バンドが放つ信念に共鳴し、音に心酔した。その信念とは、ヘヴィーなメタルコアを鳴らしながら、希望を多くに届けようとする巨大な使命感だ。

この1stアルバムには、そんなサバプロの凄まじいエゴが詰まっている。昨年のCrystal Lake、NOISEMAKER、wrong cityとのスプリット『REDLINE RIOT!!』の中でも、サバプロの溢れんばかりのエモさは際立っていた。今作の“Awake You Ask Kinda Awkwardly”や“MIRROR”で見せる迸る感情の露呈は、驚くほどに強化されている。ラウドの強さで圧倒するだけじゃなく、広壮な音に身を包まれる快楽度は、新世代バンドのなかでも高いことを改めて確信した。共にどこまでも歩みたくなる。（石井彩子）