正々堂々、威風堂々

ナッシング・バット・シーヴス『ナッシング・バット・シーヴス』
2015年10月21日発売
ALBUM
ナッシング・バット・シーヴス ナッシング・バット・シーヴス
サマソニでの初来日ステージで新人離れしたド迫力のパフォーマンスと底抜けの度胸を見せつけたナッシング・バット・シーヴス、ついにその全貌が明らかになるデビュー・アルバムが本作だ。タワレコで限定発売されたデビューEPでも際立っていた楽曲のレンジがさらに大胆に広がっているアルバムだ。全てはジャムから始まったというのも納得な変形グルーヴで畳み掛けるフリーキーなナンバーから、フリークネスを見事に飼いならし美しく整えていくシンガロング・ナンバーまで。このバンドが凄いのは、楽曲の広域の幅が最終的には超王道のロックンロールのかたちに収束していく、その普遍を一切恐れていないことだ。「どこにもないロックンロールを探そうとしても、そんなものはどこにもない」と言ったのはノエル・ギャラガーだったが、このバンドは「どこにでもあるロックンロール」の精度で勝ち上がろうとしている。しかし本当にコナー・メイソンという人の声は凄い。ここまで楽器を弾かず声の力だけでステージを掌握できるUKヴォーカリストは久々。リアム・ギャラガーやクリス・マーティンと並び立てる逸材だと思う。(粉川しの)
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