前作『ニュース・フロム・ノーウェア』でのトリオ編成からジェイムス・バッテリー（Vo）がラインナップを離れ、再びエイデン・ウォーリー＆ジェイムス・ヤングの2人体制に戻ったダークスターの、2年ぶり3rdアルバム。虚空に極彩色の絵の具を浮かべていくようなポップ・トラック“ストーク・ザ・ファイア”、“スルー・ザ・モーションズ”。電子音の静謐なタペストリーの隙間から濃密なメランコリアが滲む“フォーム・アイランド”。ネプチューンズをありったけのウィットでもって8ビット変換したような“ピン・セキュア”……ポスト・ダブステップの闇と光を丹念に編み込んだ楽曲群が、英総選挙の開票速報を聞きながら作ったという“デイズ・バーン・ブルー”や随所に挿入されるストリート・ノイズと相俟って、今この時代のイギリスに広がる灰色の風景をクールに活写するアンビエント・ポップとしてのアート・フォームを形成している。ストリートの出口なき喧噪とサイケデリアをそのままベッドルームの密室感の中に封じ込めたような、やわらかな狂気がここには詰まっている。13年フジロック以来となる来日公演も目前！（高橋智樹）