君のダンスはラジオ体操じゃない

星野源『YELLOW DANCER』
2015年12月02日発売
ALBUM
星野源 YELLOW DANCER
星野源はしばしばライヴで、オーディエンスに揃って手を振ったりするのではなく、自由に気の向くままに、バラバラに踊って欲しい、ということを呼び掛ける。今作でも彼は、《今を踊る すべての人に捧ぐ/君だけのダンスを 世間のフロアに出て叫べ》(“Week End”)と歌っている。大きなステージに立った星野源が見る「YELLOW DANCER」とは、他でもなく、遠慮がちでぎこちない、だからこそ真の解放を得たときには熱狂の混沌を生み出す可能性を秘めた、我々の姿だ。歌謡曲の歴史に様々なブラックミュージックからの影響を見出し、日本語の響きごと音楽のエネルギーを攪拌し再構築するこのアルバムは、最高のポップ作であると同時に最高のダンスレコードである。細野晴臣がベースを弾く以外、すべての楽器を自ら奏でるインスト“Nerd Strut”は、部屋に籠ってひとり歌を紡いでいた時間も、SAKEROCKも、大瀧詠一“福生ストラット(パートⅡ)”の遺産も、纏めて未来に解き放つナンバーだ。さあ、権力や暴力では思い通りにならない、わけのわからないエネルギーがこの世にはあるって、教えてくれ。踊れよ、日本。(小池宏和)
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