リスペクトと愛
V.A.『ア・サルート・トゥ・ザ・シン・ホワイト・デューク - ザ・ソングス・オブ・デヴィッド・ボウイ』
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ALBUM
デヴィッド・ボウイのナンバーをカヴァーするということは、アーティストにとって自身のクリエイティヴィティへの挑戦と同義でやりがいのあるチャレンジには違いないだろうが、同時に、クリエイティヴィティを十全に発揮してボウイのカヴァーを行うことは凄く難しいようにも思える。どんなに頑張ってオリジナリティを発揮しようが、ボウイの変化自在、縦横無尽な創造性と独自性にのみ込まれてしまうというか、「個」の勝負で明らかなハンデがそこにはあると思うからだ。本作はダム・ダム・ガールズやキティら気鋭のオルタナ・バンドたちが集結したボウイのトリビュート・アルバム。本作が楽しく聴けるのはボウイに対抗するのではなく、リスペクト全開で開き直ってやっている点だ。“スペイス・オディティ”に“ヒーローズ”に“レベル・レベル”にと、捻りを効かせた選曲というよりもファン・フレンドリーなド直球のアンセムに真正面から取り組んでいるあたりも潔い。特に、ストレートにブギーなロックンロールでやりきったエレクトリック・シックスの“ブルー・ジーン”、ボーイ・ヒッツ・カーの“月世界の白日夢”を推したい。(粉川しの)