藤原ヒロシ、冨田ラボの正統派リミックスもあるからいいけど、実際にリミックスした曲もあれば、カラオケ状態で歌っている曲もあり、自由度満点な内容。資料によれば、新たにミックスしたものは全てリミックス、という趣旨らしい。原曲がわからなくなるようなリミックスやカヴァーは嫌だが、いろいろな人を関わらせたいということなのだろう。原曲をどれだけブチ壊してくれるかといったことを期待したら肩透かしを喰らうが、これは原曲への親和性が高いから、オリジナルへのハードルはぐっと低くなる。解散して20年も経つバンドを知らない世代に投げかけるアイテムとしては、有効かもしれない。レッチリの“サーチ・アンド・デストロイ”からイギー・ポップを知るようなものか。プロデューサーは「I love you & I need you ふくしま」でお馴染み猪苗代湖ズの一員でもあるクリエイティブディレクター箭内道彦。WHITE ASHやSilent Sirenなど注目の若手を起用する一方で、自分も参加しちゃうユニークかつ福島寄りの人選が異彩を放つ。誰もが歌いたくなるTHE BLUE HEARTSの新しい形である。（今井智子）