『純情ランドセル』2月15日にメジャーデビュー4周年を迎えた赤い公園。彼女たちのデビュー盤『透明なのか黒なのか』に寄せたオフィシャル文に筆者は「ロックとポップの次元がひっくり返る」というキャッチを付けたが、その思いは今も不変だ。いや、ひっくり返る次元は作品を重ねるごとに高次になり、刺激的かつ豊潤な様相でその奥行きを広げている。そして、本作を聴いて確信した。赤い公園の音楽性はもはや完全独自のスタンダードになったと。ポップとアヴァンギャルドをめぐる遊び心と闘争を鮮烈に映し出す多様なサウンドも、楽曲ごとにカオティックに交錯するハレとケの物語を継ぎ目なく共存させる歌詞も、大衆性という大海原を母のように慕うメロディも、本来は体現するには難儀な楽曲をあまりにナチュラルに躍動させてみせる女性4人のバンド像も――本作のすべてが普遍的な光輝に満ちている。亀田誠治、島田昌典、蔦谷好位置という日本を代表するポップマエストロとも言うべきプロデューサーが一同に介しているアルバムもそうないだろう。しかし、それも必然と思える楽曲群が並んでいる。全14曲、しかと味わい尽くしてほしい。(三宅正一)