『日日是好日』バンドやグループで活動している(もしくはしていた)人がソロをやる時は「ソロならではのことをしなきゃ」と気負いがちだが、今の藤巻はそういう垣根を取っ払って自由に曲が書けているという。タイトルチューン“日日是好日”は多くの人々が楽し気にダンスを踊るMVも象徴的な晴れやかなサウンド。しかし《深い闇が去ったら もう一度信じてみたい》と歌詞にあるように《今日はいい日だな》と歌って肯定することで彼は今を受け入れて前に進みたかったのだろう。既にシングルでリリースされている“8分前の僕ら”における、《丸だって言ったそばから三角で》あたりの描写は実に藤巻らしくて、もっと言えばレミオロメンの“ビールとプリン”を思い出したりして何だか嬉しかった。この曲に描かれている「君」と「僕」がそれなりの年月を経て、より支え合えるような成熟した関係を思わせることも。思えば音楽と藤巻自身の関係もそうなのかもしれない。惹かれ合っているのに上手く行かない時もある、だけども一緒にいたいんだ、という想いが今作を瑞々しくしなやかなポップの名盤にしているのでは。(上野三樹)